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暗闇の中、枕とナイフの間に答えを見つけた

今夜こそは意識の表面から跳ね上がる鯨を仕留めなければいけない

どうせ死んでしまう夢なのであれば奴らが血眼になりながら差し出してきた嘘をしゃぶり尽くした後でも遅くはないはずだ

 

窓の外を覗いてみても自分が手に入れることの出来るものは何一つなかった

それらは揃って値段が高すぎるか特殊なコネがないと入手できない物ばかりで、

そのクセちょっとした工夫さえすれば頭の中で容易に作り出せる物ばかりだった

何故そんな物のために自分が奴らのように必死にならなくてはいけないのかが理解出来なかった

 

みずみずしい針が太ももに刺さるまでの間、

数秒後には忘れてしまうであろう景色を思い返してみた

決して誰が、何が悪かったとかそういう事ではなく、

合わさることのないパズルピースを無理やり同じ時間軸に押し込んだようなものだったのであろう

だがいかなる形であれその瞬間瞬間に愛が存在していたのはゆるぎない事実であって

きっとそれらの温かい時間だけを切り取り繋ぎ合わせ、繰り返し再生し続ける行為こそが永遠なのだ

 

ある日意識の膜の裏に隠れていた本当の自分と出会った

彼は既に宇宙の真理を理解していて、

僕が外に追い出されるまでの間一生懸命僕にそれを説明してくれる

一度外に出てしまうと全て忘れてしまうのだが、

僕はいつものように身体を震わせながら彼の話を聞き理解する

そして徐々に身体が形を取り戻し始めると共に

こんな事をそっちで覚えていると不便が多いからと彼はそっと僕の頭から情報を抜き取り

意識の淵から僕を突き落とすのであった

 

今回僕が彼に気づかれないように唯一外に持ち出せたのは

「例え強制的に引きずり出した景色であっても、その目で見ることが出来たのであれば現実に存在しないわけがないという概念」と

枕の上を飛び越える鯨が僕の顔に唾を吐いたあとに歌ったメロディだけであった